東京


17:50 新橋駅

初めて乗るゆりかもめ線には乗客が少なく
向の席へ悠々と足を伸ばせる
その先にはまだ誰もいない

近代的な駅はどこも同じ。
二重の扉が開き誰も乗ってこないのも同じ。
窓に施されているのは、青を基調としたデザイン。
過ぎた夏の記憶のせいで色あせて見えた。

駅を抜けるとそこに見えたのは「まぶしい夜空」
ビルの光 観覧車の光 あんなに遠くなのによく届く光
闇に威嚇するなんて。
広い空間が光で小さく見える

いよいよあのレインボーブリッジが近づいてきた。


線路脇にはバイクを2ケツで乗る男女 電車と共に闇を切り裂いて
わたしたちはお台場という宝箱の中に入っていった



お台場海浜公園駅に到着。

しばし街の光に目を奪われる。


海を臨むデッキで青が沈んだカクテルを飲んだ。

波打ち際まで行くと不思議な気分だった。
海なのに周りは360°ビルに囲まれている。
みなもの光は

消えない花火、

変わらない星空。



なにも
本物に思えなくて。


わたしたちの居る宝箱は
嘘も妬みもみんな詰まっているから

開けるのが怖くて
端っこでこう
ひっそりと息を潜める、ひとりの人間。


怖いから、誰も私を信じないで